カレーは翌日が美味しい。翌々日はもっと美味しい。


都内有数の隠れとんかつスポットである赤坂エリア。「まさむね」や「末吉」、六本木方面の「イマカツ」。さらには東京ミッドタウンの「平田牧場」など、多くの人に知られた有名なとんかつ店が数多くある。どの店も甲乙つけがたいほど美味しい。が、「カツカレー」となると、今回紹介するこの店が頭一つ飛び出ていると筆者は考える。その店の名は「とんかつ水野(みずの)」だ。赤坂から溜池山王の交差点方面に向かう脇道にあり、以前に紹介した「金子屋」に近い。とんかつの店であるため、とんかつは当然美味しい。しかし、カツカレーは他では味わえない美味しさで、カツカレーの名店として赤坂界隈の人々に愛されているのだ。


筆者がよく食するのは、ロースカツカレー(¥890)だ。カツは粗目のパン粉を使用し、しっかりと揚がってキツネを越えた茶色。サクっとした衣、そして柔らかく、しっとりロースだ。そしてカレーは粘度が高く、細かにカットされた豚肉、玉ねぎなどが入っている。初めは甘めに感じるが、後からピリッとしたスパイスが大人の味だ。そしてコクが深い。その美味しいルーが、ご飯やトンカツに対して、たっぷり盛られているのだ。じつはこのカレー、3日間煮込まれているという。カウンターを見るとカレーの入った大きな鍋が3つ並んでいるのが目に入るだろう。甘口、普通、辛口の違いではない。1日目、2日目、3日目という煮込んだ時間の差なのだ。提供される2日前から仕込まれており、長い時間をかけられたカレーと言うわけだ。家でも前日に作ったカレーは旨いのに、それを1980年の創業以来からカレー作りを続けてきたプロの味なのだから、美味しくないはずがないだろう。


そもそもカレーは、時間が経つことで、具材のもつ旨み成分や甘み成分がソースに溶けだしてコクが増すのだ。そして肉・野菜・香辛料に含まれる糖質やタンパク質、アミノ酸などの成分が微妙に絡みあうことで、独特の「コク」が生まれてくる。さらに煮出しされた汁も寝かせることで「冷ます」と「温める」が繰り返され、素材の旨み成分がよく混ざりあい、熟成が進むと言われている。またカレーのスパイスは、じっくり余熱で加熱されることで、突出したとげとげしさが減少し、全体のバランスがとれた、熟成された奥深い香りと風味へとなっていく。カレーを毎日作り、寝かせる水野。常に三日目のカレーが味わえるのだ。


この味を知ってか知らずかは不明だが、多くのお客さんがカツカレーを頼んでいるのが見受けられる。もし「トンカツをメインで食べたいけど、カレーも少しだけ欲しい」という方には「ちょいカレー(¥210)」も嬉しい。ここで、筆者流の「水野のとんかつを楽しむ」食べ方を伝授したい。まずはとんかつのみをソースで食べて欲しい。しっとりした安心感のある揚げ具合のトンカツに粘度の高いカレーにとても合うのだ。とんかつを一口食べたらカレーだけで一口食べて欲しい。どこか懐かしい感じがする王道をいく美味しさのカレーだ。しっかりスパイシーさが効いており、カツにもよくあう。最後にカツとカレーを一緒にクチに運んでみる。これこそ絶妙という奴だ。赤坂界隈で「これから大切な商談だ」という時にはゲンを担ぐ意味でもトンカツにカレーを頼んではどうだろうか?

※本記事は赤坂在勤在住のライターA(30代独身男)が執筆しました。

お店情報

店名 赤坂水野
TEL 03-3585-4040
住所 東京都港区赤坂2-7-5 2F
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